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オフィス内作業の天敵「二酸化炭素」、良い作業環境のための対策は?

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一日のうち多くの時間を過ごすことになるオフィスの室内環境は、仕事のパフォーマンスや社員の健康に影響を及ぼします。

仕事中に頭がぼんやりして判断能力や作業効率が下がった、めまいや吐き気、頭痛を訴える社員が増えたとしたら、オフィスの空気環境を見直すサインです。

オフィスの空気環境を悪化させる原因として挙げられるのが、空気中の二酸化炭素の濃度です。

そこでこの記事では、オフィスと二酸化炭素の関係について、二酸化炭素の濃度が上がることによる問題と対応策を中心にお伝えします。この記事を参考にオフィスの空気環境を改善し、業務のパフォーマンス向上にお役立て下さい。

オフィス内の二酸化炭素濃度が上がることによる影響

オフィス内の二酸化炭素濃度が上がると、どのような影響があるのでしょうか?

2012年、アメリカのエネルギー省の研究機関であるローレンス・バークレー国立研究所は、ニューヨーク州立大学の研究者と行った研究結果で、室内の二酸化炭素(CO2)濃度が高くなると、人々の意思決定能力を著しく損なう可能性があると発表しています。

実験の被験者である24名の学生に対し、温度、湿度、換気率などの条件は一定にし、CO2濃度が600ppm、1,000ppm、2,500ppmの環境下で2.5時間過ごしてもらい、その後、意思決定のパフォーマンスを評価するための9種類のテストを行いました。

東京都健康安全研究センターのビル衛生検査係は、オフィス内の二酸化炭素の含有率を1,000ppm以下にする必要があるとしています。

出典・参照 :節電対策と管理基準への対応 最近の指導事例

また、ppmとは、「パーツ・パー・ミリオン」の略であり、主に微量物質の濃度を表す際に用いられる単位です。1ppm=0.0001%です。
テストの結果、二酸化炭素の濃度が最も高い2,500ppmの環境下では、それよりもCO2濃度が低い600ppm、1,000ppmの環境下に比べて、パフォーマンスが低下する傾向にありました。

また、2017年にハーバード大学公衆衛生大学院が、換気率、化学物質の濃度、二酸化炭素の濃度の異なる環境下で、認知機能のテストを行いました。
その結果、換気率を高め、化学物質の濃度とCO2濃度が低い環境で働いていたときには、9つの認知機能領域でテストの得点が高くなっていました。
さらにこの研究発表では、換気率を2倍に高めると、1人当たり年間6,500ドルの生産性効果が見込まれると推察されています。

これらの研究から分かるように、オフィス内の二酸化炭素の濃度は、そこで働く人々の生産性に大きな影響を及ぼしています。

快適なオフィスの二酸化炭素濃度

では、オフィスの二酸化炭素の濃度は、どの程度だと快適と言えるのでしょうか?

オフィス内の二酸化炭素最適値

室内の酸素が不足し二酸化炭素が増加すると、業務のパフォーマンスに影響を及ぼすだけでなく、健康にも影響が出ます。

CO2濃度が350ppmから450ppmであれば屋外と同等のレベル、700ppmを超えると注意が必要になり、1,000ppmを超えると眠気を誘われます。さらに2,500ppmを超えると、頭痛・倦怠感・注意力散漫など健康に害を及ぼす影響が出始め、5,000ppmを超えてしまうと、作業場所としては適しません。

室内のCO2濃度が高くなる主な原因は、人が吐き出す二酸化炭素です。その増えすぎたCO2濃度を下げるためには、換気が有効です。
換気には、空気を屋内に取り入れる「給気」と室内の空気を屋外に排出させる「排気」が必要となります。

室内にいる人が酸素供給のために必要な量は、1人1時間あたり1m3です。それに対して、事務作業程度の活動を行う場合の1人あたりの二酸化炭素排出量は20ℓ/h(0.02m3/h)です。

屋外の典型的なCO2濃度は380ppm程度と言われているので、室内のCO2濃度を1,000ppm以下にするためには、新鮮な空気量は1人1時間あたり約30m2が必要になってきます。

二酸化炭素の管理は法律で決まっている?

オフィス環境に関して、2つの法律によって定められています。

  1. 事務所衛生基準規則:労働安全衛生法に基づき定められた事務所の衛生基準を定めた厚生労働省令
  2. 建築物における衛生的環境の確保に関する法律:通称「ビル管理法(東京都ではビル衛生管理法)」

事務所衛生基準規則では、事務室の環境管理基準として二酸化炭素の含有率を100万分の5,000以下(=5,000ppm以下)と定めていますが、空気調和設備により調整が可能な場合には100万分の1,000以下(=1,000ppm以下)になるように調整しなければならないとしています。

また、床面積が3,000m2以上の特定用途に利用される建築物や8,000m2以上の学校が対象になる「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」、通称「ビル管理法(東京都ではビル衛生管理法)」では、建築物環境衛生管理基準に従って建築物の維持管理をしなければならないとされています。

建築物衛生法に規定される「建築物環境衛生管理基準」について、二酸化炭素の含有率は100万分の1,000以下(=1,000ppm以下)と定められており、厚生労働省はこの基準に適合するように空調設備の維持管理に努めなければならないとしています。

また、文部科学省は学校保健安全法に基づき「学校環境衛生基準」を定めています。学校環境衛生基準の中で、「換気の基準として、二酸化炭素は、1500ppm以下であることが望ましい」と定めています。

埃やススが溜まると空気の出入りが悪くなり、換気の妨げになるうえ、カビやダニの温床となることもあります。そのためアレルギーを引き起こす可能性もあるので、こまめに掃除したいところです。

オフィスの二酸化炭素対策

ここまで、オフィス内のCO2濃度が上がることによる影響、快適なオフィスのCO2濃度について解説しました。

そこで、ここからはオフィスの二酸化炭素対策について解説します。

オフィスの二酸化炭素対策としてまず考えられるのは、窓を開ける、換気扇を回すなど、換気を促すことです。もちろん換気が容易にできればそれに越したことはないのですが、高層階のオフィスなどでは、窓が開かず、換気扇がない場合もあります。

そのような場合を中心に、3つの対策法をご紹介します。

観葉植物

観葉植物は光合成を行うことで、二酸化炭素を吸い、酸素をつくり出してくれるので、二酸化炭素の削減が可能です。とはいえ、それなりの広さがあるオフィスでは、観葉植物だけで会社全体のCO2濃度を改善できるほどの効果はありません。

オフィス全体の二酸化炭素の削減には効果が薄い観葉植物ですが、シックハウスの原因となる化学物質を吸収する力や、カビの胞子やバクテリアを抑制する力があると言われており、室内の空気をきれいにする効果が期待できます。

また、オフィスのおしゃれ感に一役買ったり、オフィス内に観葉植物を置くことでリラックス効果が期待できたりなど、二酸化炭素以外の効果もあるため、観葉植物をオフィス内に設置することはプラスに働くでしょう。

ダクト・換気口の掃除

高層ビルなどの場合、安全面から窓が開かないことが多く、換気扇がないビルもあります。そのような場合はダクトや換気口などで空気を通しますが、空気には多数の埃が含まれるため、排気ダクトや換気口が埃やススで汚れがちです。

ただ、ダクトや換気口の掃除を自分たちで行うのは難しいケースも多いため、清掃業者に定期的に点検・清掃をしてもらうといいでしょう。

一社に一台?二酸化炭素測定ツールをご紹介!

オフィスの空気を適切な濃度で保つために、空気中の二酸化炭素を測定するツールが存在しています。
このようなツールを導入することにより、空気質を把握することが出来るため、二酸化炭素濃度はもちろん、換気のしすぎも防ぐことができます。
そこで、近年話題のIoTを利用した二酸化炭素の測定ツールをいくつかご紹介いたします。

Awair 空気品質モニター

温度や湿度、二酸化炭素だけではなく、ホコリや化学物質まで感知する優れものです。リアルタイムの空気状態をアプリで確認することができます。

NETATMO ウェザーステーション

もともとは温度や湿度、気圧など天候に関する測定器でしたが、バージョンアップを繰り返し、二酸化炭素も測定できるようになりました。
売り切れが続く人気商品なので入手が困難ですが、アプリとの連携もスムーズで非常に使いやすいようです。

オフィスの動線の調整

換気を有効なものにするために、次の2点に注意しましょう。

1)換気のための「入口」と「出口」がありますか?

室内の空気の流れは、入口から出口への一方通行です。空気の流れをつくるために、空気を屋内に取り入れる「給気」と、室内の空気を屋外に排出させる「排気」が必要です。外気の入口(給気口や窓を開けるなど)のほかに、室内の空気を外に出す出口(換気扇など)を設けましょう。

2)空気はオフィス全体を流れていますか?

例えば窓や給気口の近くに換気扇がある場合、換気の入口と出口が近くにあるため、そこから遠い場所の空気は動きません。換気できず空気がこもってしまうので、その付近の場所にいる人はCO2濃度が高い環境下で作業をしなければなりません。

淀んだ空気のムラを減らし、空気がオフィス全体を流れるようにするためには、換気の入口と出口はできるだけ離れていることが望ましいです。理想は、部屋の端と端、対角線上にあることです。

また、パーテーションや間仕切りなどで空気の通り道を塞いでいる可能性もあるので、オフィスのレイアウトを見直してみましょう。

オフィスの換気率を高めると生産性の向上が見込まれるので、オフィス内の空気が淀んでいると感じているなら、換気を考慮してオフィスを移転するのも有効な方法です。換気が良くなることで、オフィス内の雰囲気も明るくなるでしょう。

その他の弊害

二酸化炭素濃度が高いということは、換気をしていないということです。二酸化炭素が直接の原因ではないものの、そのような換気をしていない状態が続くと、私たちの体にも影響が出ます。

換気不足によって生じる弊害について、2点お伝えします。

病気が伝染しやすい

換気をしていない環境では、空気は動きません。空気が流れないため、風邪やインフルエンザのウイルスが一旦入り込んでしまうと、ウイルスが蔓延してしまいます。

風邪やインフルエンザの予防として、窓やドアを閉め切って外気が入り込むのを防ぐことは、かえって病気が伝染しやすい環境をつくることになります。

風邪やインフルエンザのウイルスが蔓延している空気は、オフィス内に留めておかず、動かす必要があります。病気の感染を防ぐためにも、こまめに換気し空気を入れ替えましょう。

シックビルディング症候群

欧米では、1970年代後半から1980年代にかけて、オフィスビルで働く労働者などの間で、頭が重い、イライラする、疲労感が取れない、よく眠れないなど、何となく体調が悪いと訴える不定愁訴(ふていしゅうそ)を自覚する人が増加し、「シックビル症候群」として社会問題化しました。

一般の住宅に比べてビルは気密性に優れており、多くのビルは空調で空気を循環させています。ビルの規模が大きくなるほど新鮮な空気の出入りが少なくなるため、空気中の二酸化炭素が増え、健康被害が生じやすくなります。

シックビル症候群が発生した原因は解明されておらず、複数の要因が関係している可能性があります。主な原因として、エネルギーの効率化を高めるために建築物の気密化が進んだこと、外気を取り入れないことで換気量が不足したことに伴う室内の空気汚染が進んだこと、だと考えられています。また、一酸化炭素、二酸化炭素のほか建築材料や塗料などから発生する ホルムアルデヒドやトルエンなどの有害化学物質も原因とされています。

オフィス内の空気を入れ替えるために、意識して換気を行うようにしましょう。

まとめ

今回の記事では、オフィス内の二酸化炭素について解説しました。
空気中の二酸化炭素が増えると眠気が起きて思考能力が低下し、さらに二酸化炭素の濃度が上がると、めまい、吐き気、頭痛といった症状が出ます。
換気して酸素を取り込むことで、頭痛や集中力の低下を防ぐことができます。また、アレルギーを引き起こすカビやダニ、埃の除去にも効果があります。新鮮な空気を取り込むことで、気持ちもリフレッシュできるでしょう。
人によって快適さが違う温度や湿度などとは違い、CO2濃度はどんな人にも一定の影響を与えます。オフィスの換気率を高めると生産性の向上が期待できるので、オフィス全体に空気が流れるように換気を行うと同時に、空気の通り道を塞いでいないか、オフィスのレイアウトを見直してみましょう。
換気の点を考慮して、オフィスのレイアウト見直しやオフィスの移転をお考えでしたら、ぜひオフィス移転のプロに相談ください。

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