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日本企業のオフィスイメージを脱却したカオナビ。目指したのは、コミュニケーションから創造性が生まれるオフィス。

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2020年11月24日、同年6月に竣工したばかりの「東京虎ノ門グローバルスクエア」に新オフィスをオープンさせた株式会社カオナビさん。社員の個性・才能を発掘し、戦略人事を加速させるタレントマネジメントシステム「カオナビ」を2012年にリリースし、現在では約1,900社(2020年9月時点)に提供する、急成長中の企業です。

カオナビさんがオフィスを移転させた理由には、「会社の成長」のほかに、withコロナ時代に参考にしたい働き方の思想がありました。

そこで、一足先にオープン前のオフィスを訪問。CDO(最高デザイン責任者)の玉木穣太さん、コーポレート本部 広報グループ マネージャーの村田春雄さんに、カオナビさん独自の働き方の思想と、それを反映させたオフィスデザインのこだわりについて、お話をうかがいました。

従業員と会社の「相互選択関係」を体現するオフィスに

――オフィスの移転理由をお聞かせください。

玉木:理由は二つあります。一つは、単純に従業員が増えたこと。これを機に2019年初めごろから移転を検討しはじめ、その年の9月ごろから徐々に内見を始めました。

玉木:もう一つの理由は、会社の思想として、会社が従業員を管理するのではなく、双方が対等な関係を構築する「相互選択関係」を体現するオフィスにしたいという思いがあったことです。相互選択関係のもとでは、働き方を選択するのは企業ではなく従業員であるべきだと考えています。

つまり、会社側が出社もしくはリモートワークのどちらかを強要するのではなく、社員自らが勤務スタイルを選択できるべきという考え方です。

この思想は、移転が決まる以前からカオナビにあったものですが、当初ははっきりと言葉にできていなかった部分もあり、従業員にきちんと伝わりきっていませんでした。しかし、コロナ禍でのリモートワークの経験も経て、カオナビの目指すべき未来を社内外に発信する「Future Deck」という資料で明確に言語化されました。

そこで、時代に合ったオフィスの在り方を見つめ直す機会として、移転やオフィスのデザインを進めていったんです。

――思想が明確化した背景には、コロナ禍の影響もあったのですね。時系列としては移転先を決められてから新型コロナウイルスの感染拡大が本格化したかと思いますが、移転に対する迷いはありませんでしたか。

玉木:正直なところ、柳橋(代表取締役社長 CEO)もすごく迷ったと思います。しかし、僕らがプレゼンテーションを通してファシリテートしていったことで、最終的にはこのオフィスをうまく運用していこうという、前向きな考え方を持ってもらうことができました。

たとえば、今までオフィスは基本的に従業員しか使ってはいけない場所でした。そこを、「カオナビに共感する人であれば誰でも使えるコミュニケーションスペースにしよう」「カオナビが出資しているスタートアップの人たちがアイデアをぶつけ合って育っていけるような場所にしよう」など、相互選択という思想をベースに、オフィスを“場”としてどのように使うかというアイデアを膨らませていったんです。

日本企業のオフィスイメージを覆すデザインを実現

――そうして現在のオフィスの形ができたわけですね。では、オフィスについてもご紹介いただけますか。

玉木:コンセプトは「(T)OWN(タウン)」です。自己所有物といった意味の「OWN」に「T」を足して、タウンとしています。一つのスペースにたくさんの異なる要素を取り入れて「個性」という概念を表現しつつ、用途に余白を残すことで、一人ひとりの社員がそれぞれの使い方で、自分の居場所だと感じられる、街のようなオフィスを目指しました。

デザイン面での大きな方向性は、2フロアを活かすということ。オフィスは15階と16階に分かれているのですが、16階を従業員専用フロアとしています。15階はカオナビに共感する人であれば誰でも使えるように運用していく予定で、サロンのように従業員以外の方もどんどん入ってきて、そこでコミュニケーションが生まれるようにしたいと考えています。

――コミュニケーションが活性化するように、工夫されていることはありますか。

玉木:たとえば、バーテーブルやバーチェアを設けることで、カフェのようにラフな雰囲気を演出し、無意識に話しかけやすい空間づくりをしています。

玉木:これが従来の日本企業のように机が一方向に並んでいる空間であれば、「オフィスは仕事をする場所だ」という概念に縛られて、「仕事を邪魔してはいけない」「仕事以外の話はしてはいけない」と思ってしまいがちですが、その概念を無意識に覆すことを狙っています。できれば15階はガヤガヤしていてほしいですね。

――15階にはバーカウンターのほかにキャンプ場のような空間もあり、とてもユニークで開放的ですよね。一方で、16階には会話厳禁の集中エリアやオンラインミーティングに使える防音ブース、靴を脱いでくつろげるスペースもあります。こういった空間を実現するにあたり、デザイン会社さんとはどのように打ち合わせされたのですか。

玉木:最初に提案されたレイアウトはいかにも日本企業という感じで、長机が一面に並んでいるものでした。

そこで、「とにかく日本のオフィスのイメージを覆してほしい」と言って、海外の事例をたくさん紹介しながら、勉強会を重ねました。海外のオフィスはすごくおもしろくて、会社ごとにも支社ごとにもデザインがまったく違うんです。

――なぜ日本のオフィスのイメージを覆したかったのですか。

玉木:僕は、従来の日本のオフィスは、暗くて窮屈で味気がないように感じていて、創造性を妨げているように見えていました。

僕は日系企業であまり働いた経験がなかったので、みんなが同じ方向を向いて、所狭しとモニターを並べて仕事しているようなオフィスにすごく違和感があって。そういったところでクリエイティビティの発揮はほぼ難しいだろうと思って、海外の事例を参考にしたんです。

――新しいオフィスのデザインについて、社員の方からはどのような反応がありましたか。

玉木:「そんなオフィスは想像できない」「セミナールームはこうあるべきだ」などの、意見もたくさんありました。そのうえ、みんながバラバラのアイデアを出してきて、そのほとんどが過保護な心配ばかり。

玉木:たとえば、「スーツを着た人がビジネス用ではない椅子に座ったときに嫌な思いをするかもしれない」など、あらゆることを想定した不安や心配の意見がありました。もちろん、予見するのは大事ですが、それは個人の意見であって、カオナビの個性を考えての意見なのかを見極めることも大切だと思うんです。カオナビの個性を大事にするということを前提に信念を貫き、現在のデザインの実現にこぎつけました。

代表とも密にコミュニケーションを取りながら進めていきましたね。代表も僕に似た考えを持っていて、同じように「なぜ会議室に長テーブルが並んでいる必要があるのか」と言う人です。

そういった考えが反映されている場として、セミナールームが挙げられます。

玉木:「FIRE SIDE」という名前で、アウトドアで焚火を囲むイメージのデザインなのですが、そこで株主総会や取締役会を開催することで、五感からカオナビの世界観に入り込んでもらいたいと考えています。

――移転を振り返って、オフィスバンクに頼んで良かった点はありますか。

玉木:コミュニケーションを密に取り、同じ目線で物事を考えてくださったので、とても信頼できました。反応も早く、分からないことを聞いてもすべて調べて教えてくれて、とても一生懸命やっていただきましたね

コミュニケーション施策を研究し、提供サービスにも役立てたい

――社員が自由に勤務スタイルを選択できるとのことでしたが、出社率はどの程度ですか。

村田:20%程度です。現在は密を避けるために出社率の上限を決めていますね。毎週Slackで出社したいと考えている曜日を申告してもらい、上限を超過する場合のみ調整しています。

玉木:これは当社の特徴だと思いますが、総務などのバックオフィス系も出社を強要されることがないよう、できる限りオートメーション化を目指しています。

たとえば、社内の備品はポータルステーションにストックしてそこから持っていってもらうようにしています。配達物も、セキュリティなしで入れる前室に専用スペースをつくり、配達員自身で判子を押して荷物を置いていってもらっているんですよ。総務だけ出社しなければならないというのはナンセンスなので、システムに頼って解決したいと考えているんです。

――現在のコミュニケーション面についてもお伺いしたいのですが、タレントマネジメントシステム「カオナビ」を提供している企業ならではのコミュニケーション方法はありますか。

玉木:「カオナビ」の人材データベース「プロファイルブック」の検索ボックスに趣味を入力すると、同じ趣味の人がヒットします。それをきっかけに面識のない従業員とも仲良くなれるというところがありますね。

村田:共通の話題はすごく重要ですよね。僕は在宅勤務推奨真っ只中の6月入社なので、ほとんど出社できず、直接顔を合わせたことがない人ともオンラインでミーティングしなければならない機会が多くありました。

村田:相手の人柄を知らない状態でリモートワークを進めていかなければならないというのはストレスが大きいのですが、「カオナビ」のデータベースで事前にミーティング相手の人となりを知っておくことで、アイスブレイクとして会話のきっかけを掴むことができ、すごく助かりました。

玉木:ただ、会社としてのコミュニケーション施策や評価については、まだまだ進化できると考えています。日々実験的に試しながらPDCAを回し、活用できそうなものがあれば「カオナビ」のサービスにも実装したいと考えているところです。

――今後、オフィスをどのように活用していきたいですか。

玉木:全従業員が一丸となって事業に臨まなければならないところ、まだまだコミュニケーションが足りないと感じています。そういったところを、オフィスのデザインの力で改善していけたらいいですね。

村田:そうですね。カオナビは個の力にフォーカスしていますが、それはワンマンプレーという意味ではありません。キャッチャーにはキャッチャーの、ピッチャーにはピッチャーの役割があるように、一人ひとりが個性や能力を活かしながらも、チームとして一体感を出していきたいんです。それをこのオフィスで体現していければと思います。

玉木:また、「オフィスはくつろいではいけない」「遊んではいけない」「ふざけてはいけない」といった固定観念がなくなり、この空間で笑い声がたくさん聞こえるようになってほしいとも思っています。

取材・文:三ツ井香菜 撮影:ひらはらあい

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