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2拠点制を12年続ける「はてな」が語る、リモートコミュニケーションを円滑にする社内文化とは

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個人向けのコンテンツプラットフォーム「はてなブログ」や「はてなブックマーク」、法人向けのサーバー監視サービス「Mackerel」の開発・提供などを行う株式会社はてなさん。はてなさんは2008年から京都(本社)と東京の2拠点にオフィスを構え、離れた拠点間でもしっかりと連携を取ってきたことから、コロナ禍でのリモートワークにもすんなりと対応できたといいます。

また2020年11月からは、2022年10月31日までの2年間を対象に、コロナ禍の長期化を想定した働き方の新制度「フレキシブルワークスタイル制度」を実施しています。リモートでも円滑に仕事を進める仕組みや新制度について、コーポレート本部 総務部 マネージャーの後藤拓也さんにうかがいました。

※取材中はマスクを着用し、十分な距離をとって取材いたしました。撮影時のみマスクを一時的にはずしていただきました。

テキストベースのコミュニケーションが活発な文化

――落ち着いた雰囲気で素敵なオフィスですね。オフィスのこだわりをお聞かせいただけますか。

後藤:こちらの東京オフィスは、開発メンバーだけでなく、ビジネスやバックオフィスのメンバーによって構成されています。職種柄外出などがなくオフィスにいる時間が長いメンバーが多いことに加えて、ビジネスやバックオフィスのメンバーがお客様をお迎えする機会が多いことから、木目調で緑を多く取り入れるなど、リラックスしやすい雰囲気にしています。表参道という立地も、落ち着いた場所にオフィスを構えたいという思いから選びました。

対して、京都オフィスは開発メンバーをメインとしており、東京よりも大きなL字型のデスクを採用するなど、ものづくりに集中できる環境を意識しています。また、ガラスパーテーションを使ってオフィス全体に抜け感を持たせ、従業員同士のコラボレーションが推進できるような工夫もしました。

――東京と京都の2拠点制になって以降、どのように社内のコミュニケーションを行ってきましたか。

後藤:拠点をまたがるミーティングはオンラインが基本で、Slackを使ったテキストコミュニケーションもとても活発に行っています。データも社内のグループウェアにテキストで残す文化が根付いており、会社のカルチャーとしても情報をきちんとアウトプットすることを従業員に強く推奨して、社内のナレッジ共有につなげています。

コーポレート本部 総務部 マネージャー 後藤拓也さん

後藤:事業としてウェブサービスを運営していることもあり、下地として、テキストコミュニケーションやインターネットを利用したツールを使うことに抵抗のないメンバーが揃っているということも、うまくいっている要因だと思います。

――コロナ禍の影響で全社的にリモートワークを導入する前は、どのようなコミュニケーション施策を行っていましたか。

後藤:始業時に東京と京都の会議室を中継でつなぎ、「朝会」と呼ぶ全社ミーティングを毎日行っていました。リモートワークを導入した今はGoogle Meetに一人ひとりがアクセスする形で続けており、会社のリリース情報やサービスのアップデート情報の連絡、新入社員の紹介などのほか、従業員が順番で3分スピーチを行っています。

当社はエンジニアがセミナーなどに登壇することが多いため、人前で話す練習も兼ねているんです。スピーチのテーマは自由なので、そこで聞いたことが従業員同士の会話のきっかけにもなっています。

後藤:また、一カ月の成果を全従業員に向けて発表し、投票で選ばれた人を表彰する成果発表会を毎月行っており、在宅勤務前はそのあとに食事を用意した交流会を開催していました。同じように半期に一度の業務報告会のあとにも、全社員が集まる交流イベントを行っていましたね。

今はオンラインで可能な限り行っていますが、やり方は工夫していきたいと考えています。

情報がオンラインにあるため、すぐにリモートに移行できた

――コロナ前は、リモートワークをどのように取り入れていましたか。

後藤:オフィスへの出社を原則とし、必要に応じてリモートワークを導入していました。制度面やセキュリティ面はもともと整えていて、ご家庭の事情などで両拠点の近くに住むことが難しいといった場合に対応していました。

また、出社を基本としつつも、リモートを臨機応変に取り入れる従業員もいました。たとえば、お子さんが熱を出してしまい、午前中に病院に連れて行って、午後からは自宅でリモートワーク、といったことも普通に行われていましたね。

――とても柔軟に対応されていたのですね。

後藤:ウェブサービスの業界では普通かもしれませんが、オンライン上に情報がストックされており、オフィスに行かないと資料が見られないということがないので、いつでも外で仕事ができるんです。今思えば、オフィスは文化として集まって、横のつながりを育む場所だったのでしょう。

――コロナ禍になり、どのように全社的なリモートワークに切り替えていかれましたか。

後藤:2月半ばからは全社的に社内ルールに則って誰でも在宅勤務ができるという形にしました。

一方で、たとえば家にお子さんがいるなどの事情があってオフィスで働きたい、といった人は出社できるようにもしていました。緊急事態措置の実施期間は出社禁止に該当するステータスに変更しましたが、現在(20年12月)は在宅を推奨するという形に戻しています。出社率は10月実績で東京が20%、京都が15%程度です。

後藤:在宅勤務への移行は、もともと環境が整っていたこともあって、ほぼ問題なくできました。

――全社でリモートワークを導入したことで、働き方に変化はありましたか。

後藤:6月頃に社内アンケートを取ったのですが、個人で取り組む仕事に集中できる時間が増えたので、在宅勤務をメリットに感じているという人が多かったです。メンタル面で不安を抱えているという人はほぼいませんでしたが、チームで取り組む業務の生産性ややりやすさについては、不安に感じているという声が聞かれました。

マネジメントや評価については、もともと2拠点制で、東京のメンバーを京都のメンバーがマネジメントするということもありましたので、大きくは変わっていないですね。隣で働いている姿が見えない分、それぞれのチームやマネージャーによっては1on1の回数を増やすなどで対応しています。

後藤:目標設定についても、離れていても問題なく評価できるようにしています。基本的には成果を出せば評価される仕組みになっていて、定性部分はコミュニケーションで見ていくというイメージ。

ただ環境が変わることで個々人の仕事への取り組みやマネジメントについても求められるものが変化していくと思いますので、必要に応じて教育や研修でカバーしていく必要があるのかなと考えています。

――隣同士で働いていた状況がリモートになり、コミュニケーションの取り方に変化はありましたか。

後藤:ちょっと声を掛けるようなコミュニケーションは生まれづらくなったということがあったので、「Discord(ディスコード)」というボイスチャットツールを入れて、ちょっとした会話に使ってもらっています。

あと、従業員が自由に書き込める一言日記のようなことを始めています。「うちの猫、見てください」というような発言を誰かがすれば、それに返信する形で盛り上がったりしていますね。社長が先頭に立って横のつながりを強めていこうとしているので、従業員もその背中を見て、自ら発信しながらオンラインでつながることを心がけています。

2022年まで在宅・出社を選べるワークスタイルを継続

――全社的なリモートワークの導入が始まった際、会社側で取られた対応はありますか。

後藤:総務としては、コロナ禍におけるガイドラインを作成しました。オフィスのある東京都と京都府から出される要請を考慮しながらステータスを3つに分け、イベント開催や来客対応、オフライン会議の最大人数などについて、どのような場合にどうするかを細かく決めていきました。

従業員からの質問も随時飛んでくるので、それも盛り込みながら、結果的には膨大な量になりましたね。でも、みんな書かれたテキストをきちんと読みこんで理解してくれるので、つくりがいはあります。

僕も入社して驚いたのですが、社内で分からないことがあれば、どこかに書いてあるだろうと従業員自身で情報を探すので、総務への問い合わせがほとんどないんです。提供しているプラットフォームが、情報のアウトプットや整理が行われ、それにアクセスできるというものなので、社内でも同じ考えなんですよね。

――それはすばらしいですね。ちなみに、7月にコロナの感染者が発生したことを公表されていますが、感染者が発覚した際にどのような対応を取られましたか。

後藤:ガイドラインには感染者発生時の対応方法も盛り込んでいたので、ガイドラインや保健所の指示に準じた対応を行いました。具体的には、感染者を確認した当日からオフィスを2週間閉鎖して完全にリモートワークに切り替え、感染者の行動範囲を特定して消毒し、コーポレートサイトで社外向けに感染状況や会社としての対応を発信しました。

――11月から実施されている「フレキシブルワークスタイル制度」についてもおうかがいしたいのですが、こちらはどのような内容の制度なのでしょうか。

後藤:簡単に言えば、これまでのガイドラインを制度化したようなものです。たとえば、出社上限に達しない限りは在宅・出社を選択可能とすることや、在宅勤務一時金、備品の在宅利用サポートなど、在宅勤務に関する取り組みを2022年10月末まで2年間継続することを定めています。

重要なのは、2年間という期間が明示されたこと。それによって、必要な制度変更などについても腰を据えて考えていくことができます。また、オフィスの近隣に住んでいる人から「在宅勤務が続くのであれば環境を変えたい」という希望もあったので、従業員が引っ越しもしやすくなりました。制度化は、「社員が安心できるように」という経営からのメッセージだと思っています。

――在宅勤務を推奨される中で、オフィスを今後どのように活用していきたいと考えておられますか。

後藤:今後も従業員がコミュニケーションを取る場、コラボレーションする場として維持していきたいと考えています。一方で、そのときの状況に合わせて、執務エリアや会議室の規模といったレイアウト変更は随時していきたいですね。

――改めて、はてなさんにとって、オフィスを構える意味とは何でしょうか。

後藤:はてなのミッションは、「知る」「つながる」「表現する」で新しい体験を提供し、人の生活を豊かにすることです。サービスとして提供するのはもちろんですが、社内でも自ら興味を持って従業員同士がコラボレーションしていくことをとても大事にしています。

従業員が働きたいと思える環境づくりをし、事業成長につなげていくためにも、オフィスは重要な一つのツールです。それを今後どのように役立てていけるのかについては、検討を続けていきたいと思っています。

取材先詳細
会社名     :株式会社はてな(https://hatenacorp.jp/)
所在地     :東京都港区南青山6-5-55 青山サンライトビル3F
事業内容    :ウェブサービス
面積/従業員人数:約200名(2020年7月末時点)
出社率/広さ  :東京20%、京都15%(20年10月実績)
         レイアウトは随時変更予定
リモートや在宅ワーク導入方法:
         在宅/出社を自分に選べる制度
今後の展望   :フレキシブルワークスタイル制度を2022年まで導入
取材日     :2020年11月27日

取材・文:三ツ井香菜 撮影:吉永智彦

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