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コロナ禍でリモートワークに移行後、社員数が2倍に。成長中のITベンチャーが実施するコミュニケーション手法とは

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人工知能・AIに関連する製品の開発と提供を行うAI inside 株式会社。同社の製品「DX Suite」は、紙の書類を読み取ってデジタルデータ化するAI-OCR製品でシェアNo.1を誇ります。

急成長中の企業のため、コロナ禍でリモートワークを始めてから社員数が2倍近くに増加。直接顔を合わせたことがないメンバーとも円滑に仕事を進めなければならないという状況が日常になりました。また、開発現場では隣に座るエンジニア同士で何気ない会話からひらめきを得ることもありましたが、コロナ禍によるリモートワークへの移行でそれができなくなるなど、コミュニケーション上の課題が発生しました。

急成長企業やIT企業によく見られるこういった課題に、AI inside 社はどのように向き合っているのでしょうか。人事担当 上山美樹さんと、総務担当 江頭伸哉さんにお話を伺いました。

入社翌日からリモートに。社風がコミュニケーションを助けてくれた

――コロナ禍以前は、社内コミュニケーションをどのように行っていましたか。

上山:コロナ禍以前から今に至るまで、Slackをはじめとするオンラインのチャットツールをベースにコミュニケーションを行っています。

人事担当 上山美樹さん

上山:仕事についてはもちろんですが、仕事以外のことが投稿できるチャンネルもあり、そこで雑談したり、プライベートな話題も会話しています。オンラインのチャットツールでは雑談が生まれにくいという話もありますが、チャットツールでのやり取りが日常なので、コロナ禍での入社ですぐにリモートワークであっても自然に馴染んでいくのだと思います。

とはいえ、隣に座っている同僚とのちょっとした雑談が開発のアイデアにつながるという場合も多く、コロナ禍でリモートワークになったことで雑談が減ったということも、やはり課題として挙がってきました。

――そういった課題に対して、どのような対策を取られていますか。

上山:チームによってはGoogle Meetをつないだまま作業をすることで、メンバーがいつでもふらっと入室して会話や雑談ができるようにしているようですね。

江頭:あと、社内コミュニケーションの活性化を目的に始まった施策もあります。

総務担当 江頭伸哉さん

江頭:リモートワーク前は社員数が50~60名ほどでしたが、現在は約100名と倍近くに増えました。入社時点からリモートワークだと社員と話す機会がほとんどないので、週に1回、異なる部署の人たちがリモートで一緒にランチする機会を設けているんです。かく言う私も、入社翌日からリモートワークになったんですよ。

――そうなのですね。そうなると、コミュニケーション面で苦労されたのではないですか。

江頭:でも、苦労は少なかった方だろうとは思います。社内では以前からSlackを使っていたので、チャットでコミュニケーションを取ることはリモートになっても変わらないですし、上司と相談したいときにもすぐに反応をもらうことができています。

また当社は、必要なことは上下関係に関わらず、きちんと言葉にするというフラットな雰囲気もあるので、とても意見が言いやすいんです。これがもし意見を言いにくい雰囲気であれば、全然うまくいかなかったかもしれません。

江頭:唯一苦労したことといえば、誰が何をしているのかが見えにくいので、仕事を進めるうえでの不明点などはとにかく聞くしかないということですね。

――なるほど。ほかに、社内コミュニケーションで行っていることはありますか。

上山:2020年11月末から、社長が出演する社内ウェビナー「AI inside Talk」という取り組みが始まりました。毎回違ったテーマが設定され、ゲストとして何人かの社員が出演することもあります。Zoomで配信しながら、コメントなどでインタラクティブな交流も生まれており、社長の考えていることや出演者の人柄を知ってもらえる機会になってきていると思います。

仕事環境を自律的に選択できることでモチベーションが向上

――コロナ禍の前後で、働き方はどのように変化しましたか。

上山:コロナ禍以前は、出社が基本でした。現在はリモートワークが基本で、緊急事態宣言の発令時は極力出社せず、それ以外の時は必要であれば自由に出社できるようにしています。出社率は、平均で1割ほどでしょうか。

実は、コロナ禍に入る少し前から、リモートワークのトライアルを始めていたところだったんです。入社予定の社員からリモートで勤務したいという強い希望があり、それを拒む理由もなかったため、将来的にはそういう働き方もあるという考えから、ルールをつくって試行していたところでした。

――全社でリモートワークに移行してから、感じる変化はありますか。

上山:大きな問題もなく、思ったよりスムーズに移行できたという印象です。ただ、人事としては、出社が基本だったころは誰がどれくらい残業しているかが肌感で分かりましたが、リモートでは分からないことが不安ではあります。

就業環境についても、私自身が家の椅子に長時間座るのは大変だと実感していることもあり、身体に支障をきたしていないかが気がかりです。人と会う機会も減っているので、精神的に落ち込んでいないかも気になるところですね。

一方で、社員にとっては、働き方の選択肢が広がりました。生産性という面でも、リモートと出社が自由に選べるようになったことで本人の自律性が尊重され、モチベーションの向上につながっていると感じます。

上山:それから採用面でも、リモートが前提であれば場所による縛りがなくなり、募集範囲が全世界に広がります。エンジニアは海外に優秀な方が多くいるため、世界を市場として見やすくなりました。今は採用が決まれば来日してもらうことを前提としていますが、コロナで入国できないということもあり、現地に住んだまま入社するケースもすでに出てきています。

――すごい、すでに世界を対象とした採用が行われているのですね。では、評価面での変化はありますか。

上山:コロナ禍とは関係なく、2020年4月から人事評価制度を刷新しており、成果をより重視するようになりました。プロセスはSlack上のやりとりである程度評価できますし、リモートによる影響と言えるところは特にないかと思います。

――働き方が変わったことで、新しく取り入れたツールなどはありますか。

江頭:オフィスにいなければ電話が取れないという環境だったので、クラウドPBXを導入しました。それにより、リモートワークでもPCを通じて電話対応ができるようになり、出社する必要がなくなりました。

江頭:また、配信機材なども新たに揃えました。これまで会場にお集まりいただいて開催していた決算説明会やメディア向け発表会をオンライン配信で行うようになりました。外部に委託するとそれなりのコストがかかるので、自社でカメラを購入して、手探りでやりましたね。回線が不安定になるといったトラブルもありましたが、なんとかやり遂げることができ、運営ノウハウも蓄積されてきています。

今はルーターを交換して回線も安定しましたし、当面はオンライン配信で決算説明会やメディア向け発表会を行っていきたいと考えています。

一人ひとりが裁量を持って働き方を選べる形に

――今後もしコロナ禍が収束したら、どのような働き方になっていくとお考えですか。

上山:基本的には今と変わらず、一人ひとりが裁量を持って出社とリモートを選べるようにすると思います。ただ、リモートワークが当たり前になると、次のステップとして東京を離れて仕事をしたいといった要望も出てくるだろうと思うので、どの程度の裁量を持たせるかは検討したいですね。

――では、オフィスは今後どう変化していくと思われますか。

江頭:私個人の考えではありますが、オフィスを完全になくすということはないと思います。私自身は家でずっと仕事をしていると煮詰まってしまうので、会社では作業的な仕事を、家では正解のないアイデアを考えるような働き方をしています。その方がはかどる気がするんです。

上山:私は逆で、作業的な仕事は家の方がはかどります。環境による仕事のやりやすさは人によっても違うので、一人ひとりに合った環境が選べるというのはいいですよね。

江頭:そうですね。ただ、一度に出社する人数は減るので、座席数を減らしてフリースペースを増やすなど、オフィスの形は変わっていくのかもしれません。ゆくゆくは、地方からリモート勤務をするという人が出てくる可能性も考えられます。そういった人が増えたときに、各地方に社員が集まれるような小さな拠点がいくつも設けられればおもしろいですね。

――改めて、御社にとって、オフィスを持つ意味とは。

江頭:一人で黙々と仕事をする場所というよりも、人とつながって、新しいアイデアを得る場所になるべきだと考えています。

やはり会って話すのとオンライン上で話すのとでは、情報量が全く異なります。オンライン上ではそもそも目線が合わないですし、画面上で資料を共有してしまえば、顔すらも見えなくなってしまいます。プレゼンをするときも、熱量はリアルの方が伝わるのではないでしょうか。

もしコロナ禍が収束すれば、家でできることは家でやり、オフィスは会って話す場として、コミュニケーションを重視した形になっていくのだろうと思いますね。

取材先詳細
会社名     :AI inside株式会社(https://inside.ai/)
所在地     :東京都渋谷区渋谷3-8-12 渋谷第一生命ビルディング4階
事業内容    :人工知能および関連する情報サービスの開発・提供
面積/従業員人数:87名
出社率/働き方 :約10%/リモート・テレワーク可能
感染対策    :ソーシャルディスタンスの確保、手指の消毒、定期的な換気、マスク着用、マニュアルの作成・公表など
取材日     :2020年12月9日

材・文:三ツ井香菜 撮影:ひらはらあい

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